手をのばす
そういうことは沙耶もわかっている、はずだと思う。


でも満面の笑みで、今も鏡をうっとりと見つめている彼女の姿に、何も言えなくなってしまった。



「由紀子みたいに・・・」



聞き流したはずの言葉を、反芻する。


沙耶の横顔に問いかけた。




どうして、突然そんなことを言い出したの?

前からそう思っていたの?

何かあったの?
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