コンビニの彼
あたしは店の裏側のドアを開け、従業員専用の部屋に行く。
店の前を通り過ぎた時にはまだ猿の姿はなかった。
「あいつ、昨日は何時間も前からいたけど、…今日来るのかな〜…」
あたしがポツンと呟いた時、女子更衣室前にドタドタと騒がしい足音を立てて、誰かがやって来る。
「史枝〜!いる〜?」
この頼りない声は
早田だ。
「いるよー。どうしたの?」
「この前のヤンキーが『武内っていう奴出せ』って言ってるんだけど…」
「え…」
何で、猿があたしを呼んでるわけ?
外にいなかったのは、もう店内に入っていたから?
「ねー、早田!そいつ、どんな顔してる?」
手帳がない!って慌てふためいているかな…。
そんなだったら、まだ可愛いげはあるんだけどね。
それとも……あたしが手帳を取ったことはバレていて、怒涛のごとく怒っていたりして……。
「な、何か分からないけど、鉄パイプ持って怒鳴ってるよ…!」
ひ〜!後者かーッ!!
しかも、鉄パイプ!?
何それ!何する気!!?
そんなに怒るなんて思ってなかったんだけど…。
ヤバイ。
生徒手帳の持ち主と猿との関係を探る、なんて呑気な事言ってらんない!!
真須美、ゴメン!任務は失敗だわ!
「史枝〜!何とかして〜…」
早田が頼りなく鳴く声がする。
ここは、もう
腹を括るしかない。