コンビニの彼
「…猿…ッ!」
あたしは猿が来てくれたことに嬉しさが込み上げてきた。
そうだよ…。こいつがいたこと忘れてたよ。
あまりにも突然の出来事でパニックになっていた。
本当ならすぐにでも猿を呼んで、2人で行けば今よりはまだ状況は良かったかもしれない。
「…威勢のいいお嬢ちゃんといい、君といい、今日は色んな人が出てくるな」
タンクトップ男が猿を見下ろしながら呟いた。
「今から彼女たちとドライブに行くんでね、野郎はお呼びじゃねぇんだよ」
「キャ…ッ」
傍にいた緑色に染めたモヒカン男が女の子の腕を乱暴に前へと引っ張り出した。
「そうなんだよ、彼女たちの同意の上でな」
タンクトップ男がニヤリと笑う。
何が同意よ…!
そんなもん、した覚えなんてないわよっ!
あたしはこいつらの勝手さに腹が立った。
「…助けて、猿…!
こいつらあたしたちを何処かに連れて行くつもり……!」
あたしがそう言い終える前に、タンクトップ男が「おっと…!」と言って、あたしの口を手で塞いだ。
「本当に威勢がいいな。でも余計なこと喋るとあとで痛い目みるよ」
男は優しい笑顔とは逆に刺々した台詞を吐いた。
あたしは口を塞がれたのと、その威圧感に圧倒されたのとで、言葉が出て来なかった。
「…何が同意だよ。2人共嫌がってんじゃねぇか」
状況を把握した猿がギロリと男を睨んだ。
「君の見間違いじゃないのかな」
「…2人を離せよ…」
「おい、こいつら先に車乗せておけ。このガキやっちまおう」
タンクトップ男が両手を組んで指の関節をパキパキと鳴らした。
あたしと女の子を捕まえている男たちはタンクトップ男の指示に従い、車の方にくるりと方向転換させた。