too cute(可愛すぎる)
「主任、早瀬さん頼みましたよ。原口君、帰るよ。タクシー乗りなよ」


山崎さんが酔っぱらった原口さんを引きずるようにタクシーに乗せた。


「お疲れさまでした」


挨拶をしてタクシーに乗り込んだ山崎さんを本宮と見送る。


カラオケ店まで行き盛り上がった。


「帰ろうか」


「うん」


「タクシー待つか?」


「風涼しいし歩こうか」


マンションまでは歩いて15分。何となく歩きたかった。


「一週間疲れただろう?」


「うん。やっぱね」


「お疲れさまでした」


改まって言う本宮が可笑しくて笑ってしまった。


「なんだよ」


「本宮が上司なんだなって思ったら可笑しくて」


本宮は大卒。私は短大卒。私の方が二年先輩だが本宮は主任。立場上は本宮が上司になる。


「精神的には早瀬が上司みたいだけどな」


「精神的ってどういう意味?」


「俺は早瀬に逆らえないって事」


「意味わからない」


「好きだって事」


何を言い出すかと思えば。
無視して前を歩く。


「早瀬、歩くの早い。もしかして照れちゃった?」


スタスタ早歩きして私の隣に来た。


「もしかして…俺の事意識しちゃった?」


私の顔を覗きこんで見てくる。


「してないっ」


こんな調子の本宮にリアクションがうまく返せない。


私を困らせてるのか、楽しんでるのか。
近付いてくる本宮の心にどうしていいか解らない。


早歩きの競争みたいになってマンションまで歩いていた。







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