君に咲く花火
窓の外に、夜のサムイ島の街の明かりが見えた。
たくさんの光ではないけれど、8階から見えるほのかな光は、まるで蛍のよう。

胸がざわざわする。

しあわせだから、想いを伝えてしあわせになれたから、その分もっとつらい。
はじめてこんなに人を好きになれたのに、これからどんどんふたりの距離は離れてゆくなんて

信じられないよ。

でも、『離れたくない』なんて言ったら、きっと困らせてしまうから・・・。

「実羽」

「ん?」

「離れたくない」

「え?」

思わず体を離してソムチャイを見る。

「言えば苦しい、わかる。でも、言う。離れたくない」

立ち上がって私の前に立ったソムチャイが言う。
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