いきば〜禁断の蕾〜(完結
遮る壁
気がつけば

梅雨は、開け

季節は移り変わり
わり

すでに夏になろうとしていた。





昨夜、気がつくと

桜井の車の中でも
病室でも無かった


自分を覗き込んでいる者も
桜井でも蕾でも無い

看護婦だ

「うっ」

だんだん体の感覚に気づく初騎



足が痛い



「初騎さん気がつきました」

覗き込んでいた看護婦は、振り返り

誰かに初騎の事を知らせる

「どれ」

返事を返し

看護婦と入れ替わり初騎を覗く先生

「足が痛いだろ」

嫌らしく笑いながら言う

「はい」

初騎は、顔を反らして返事した

「無茶するからだ」

少し戒める様に怒る先生

黙っている初騎の頭に手を置いた

「全く、心配したんだよ」

先生は言うと離れて椅子に座った

「退院は」

初騎は少し気になり聞く

「気になるかい」

先生の言葉に初騎は反応為なかった。


本当は、もうすぐ


1週間後に退院だったのだが

別に退院したい訳では無かった



どちらかと言えば



退院したく無いと思っていた。


「残念だけど」

先生の言葉に初騎は軽く喜ぶ

今は、まだ蕾に会いたく無いから



伸びてくれ



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