一緒に、帰ろうよ。
「…は?」
「だから、あれはお前の勘違いなんだよ」
カナは頬を掻き、ため息をついた。
「あれは、告白の予行みたいなもんだよ。
ミコ、恥ずかしいっつって、俺が練習台になってたんだよ」
俺の、勘違い……。
…やっちまった。
ミコを、傷つけた。悲しませた。
「それより、行かなくていーのか?
この辺、変質者が多いらしいからな」
変質者。
そういえば手紙で見たことがある。
いつも、この辺の時間に現れる、包丁を持った男。
もし、そいつにミコが襲われたりしたら。
今は、ミコを守ってやれるやつがいない。
「…帰る。あいつ追っかけてくる」
鞄を手に、急いであいつを追った。