一緒に、帰ろうよ。


傘をささずに道を走る。


ミコ、怒ると歩くのが早えからな…。


水溜りも気にしないで走る。



「はっ、は……っ」



雨が体を冷やして行く。

それが逆に心地よかった。


前方に、ピンクの水玉の傘。

間違いない、ミコだ。



「ミコ──ッ!」



声を張り上げ、名前を呼んだ。

ミコは、振り返らずにそこに立ち止まった。


やっぱ、怒ってんな。



「ちょっと待ってろ…!」



それだけ言い、小走りでミコに駆け寄る。

ちょっとしか走ってねーのに、こんなに息が切れるのが辛い。


一歩、また一歩とミコに歩みを進める。

そして、ミコの腕を引いた。



「……」



ミコの目は真っ赤で、泣いていたことがよくわかる。



「さっきは…、ごめんな、その…
勘違いし──、!?」



傘が、地面に転がった。

ミコが傘を離して、俺を抱き締めたからだ。



「…ばかっ! ほんとは、ハルなんて大好きなんだから、ばかあ…っ!」



言うと、ミコは泣き出してしまった。

──ああ、俺は幸せ者だな。


ミコの背中に手を回し、



「俺も…、

好きだよ」



と呟いた。


雨が、少しだけ止んだ。

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