劣等審判
「前もそう言って教えてくれなかったじゃないか」

「そうだったっけ」

「そうだよ」

「覚えてないや」

覚えている必要などない。そんな、ちっぽけなことを。

「それよりまず、死んだ君を生き返らせてあげた私に感謝してよ」

「そう言っても、また殺すんだろ?」

「死んだはずの君が生きているのは不自然だからね」

「それを言うなら37歳の貴女が学生をやっているはずないよ」

石川君の声は清々しかった。目は曇っていなかった。

「……地獄で、彼女には会えた?」

重い空気の中、少し気になったことを聞いてみた。

「会えるわけないよ。彼女は天国へ行った。」

「それは残念だ」

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