劣等審判
「やぁ…石川君…」

 不気味な声が背筋を凍らす。妙に聞き覚えのある声だと思って、振り向いた。嫌な予感はしてたんだ。でもまさかこいつが。

「御機嫌いかがかな。私は最高さ。何せ君に会えたのだから。この高校の生徒は1000人くらいさ。だから君に会えたことがとても嬉しいんだ。ましてや70億人いるなかの1人に会えたってことがって!!どこにいくんだい!?」

 朝からこいつに会うなんて。今日は最悪だ。神は残酷だ。

「おいおい、無視は酷いんじゃないかい?いくら君だからといって私を無視する事が許されるってわけではないんだよ!!って聞いてるの!!石川君!!」

 五月蝿い!!黙れ!!と心で唱える。

「まだ?!まだ返事くれないの!?そろそろくれないと傷つくよ!!あのねぇ…これでも私は傷つく生き物なんだよ!!分かっているのか!!石川君!!」

「五月蝿い!!黙れ!!山口!!」

 廊下がしん…と静まった。

「ええと…な、なんだ。落ち着きたまえ石川君。今回は…ええと…」

 山口がキョドっている。初めて見た。

「図書館でも一緒にどうだ?」


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