psi 力ある者 愛の行方
「泉 絖太」
私は、もう一度彼の名を呼んだ。
二度目のそれに泉がとうとう口を開く。
「あのさー。さっきからどしたの? ていうか、玄関で会った時からなんかおかしくね?」
上目遣いに私を見ると、一度コーラを口に含む。
「いつも以上にバリアー張りまくってる感じ」
椅子の背にドカッと寄りかかり、泉が小さく溜息をついた。
「俺、惣領に何かしたっけ? あっ、屋上。先に帰ったから怒ってんのか?」
私の考えとは全く噛み合わない、とんちんかんな事を言って来る。
やっぱり、ただの一般人?
私は、泉の触ったカップへさりげなく手を伸ばし触れてみる。
そうして、ほんの少しだけ力を解放した。
途端、ドロドロの異物を口から無理やり流し込まれた感覚に陥り。
その後、身体の先端という先端にビシッと言う音が聴こえて来そうなほどの鋭利な痛みを感じた。
電流が走った様な痺れる感覚と、その苦痛に漏れそうな息を飲み込みむと、脳内に流れ込んでくる音声。
それは、泉が感じ、思っていること。
[ せっかく二人っきりだっていうのに、惣領の顔、ちょ~怖えー。黒谷からジャイ子の称号受け継いだ方がいいんじゃねぇの? ]
え゛っ……。
思いもよらない心の声に、危うく声を出しそうになった。
それを何とか押し込める。
何よ、それっ!
体力消耗してまで読んだ泉の心の内がこれ?
さっきまで浮かべていた険しい表情、それとは違うムッとした顔を泉に向けた。
解放していた力を閉じ、聞こえてきたどうしようもない泉の考えに呆れて溜息が出る。
はぁ~……。
私の完璧な独り善がりだったてこと?