psi 力ある者 愛の行方 


久しぶりに使った能力。
祖母が他界してから、使う事などないと思っていたのに。
いざ使ってみたら……。

一気に脱力感に見舞われた。
空回りしている自分自身に呆れてしまう。

ダメだ。
こんなことウダウダ一人で考えてたって、埒が明かないかも。
力を使う使わない以前の問題よね。

「ねぇ、泉」

私は、ダイレクトで質問する事にした。

「肩の痣なんだけど」
「肩? あぁ、これ?」

泉は、自らの右肩を指差す。

「小さい時からあるんだよね。この痣」

小さい時から……。
やっぱり、力ある者?
もしかしたら、まだ力が開花していないとか?
でも、それだと心を読まれていたあの状況に説明が付かない。
それとも、今は力を閉じている?

疑問は浮かべど、力ある者という言葉はさすがに口には出来ない。

私がまた少し黙り込むと、泉が逆に聞き返す。

「痣がどうかした?」
「……ううん。ただ、今まで気がつかなかったから…」
「そりゃそうだよ。こんな場所そうそう人に見せないっしょ。あ、でも。夏は、別か。海にプール、山に川。早く夏来ねぇかなぁ」

夏の日差しを思い出しているのか、泉の瞳が生気を取り戻したように輝いていく。
そうして、それる話。

いったい、泉絖太って……。

脈絡のない話の展開に、私はついていけない。


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