完璧上司は激甘主義!?
やだな。とんだ勘違いだ。

南課長には永井さんという恋人がいる。
それでも玉砕覚悟で気持ちを伝えようと思っていたのに、どうしてさっき一瞬でも訪問者は南課長であって欲しい、なんて思ってしまったのだろう。

来るはずなんてない。
だって南課長は出張から帰ってきたばかりだし。
それなのに、わざわざいち部下でしかない私の家を訪ねてくるはずないのに――……。

「大丈夫かな、私……」

ドアにもたれかかったまま、ポツリと言葉が漏れてしまう。

本当に大丈夫なのだろうか。
私……南課長に気持ちを伝えて、さっぱりと吹っ切ることなどできるのだろうか。
そんな不安が押し寄せてくる中、突然背後から声が聞こえてきた。

「そんな恰好で何をやっているんだ?」

「……え?」

荷物を抱えたまま、顔を上げればそこに立っていたのはスーツ姿の南課長だった。
部屋着のまま荷物片手にドアにもたれかかっている私を、不思議そうに見つめていた。

「みっ……南課長……?」

南課長のことばかり考えていたから、夢でも見ているのだろうか。
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