完璧上司は激甘主義!?
「だから篤人の天使ちゃんだって!」

そして男が女にするように俺の肩に腕を回してきた裕介の手を、すぐさま払いのける。

「やめろ。それに悪いが全く意味が分からない」

軽く裕介が触れた肩を払っていると、「相変わらず潔癖症だな」なんて皮肉めいたことを言ってきた。

「そんなんじゃ天使ちゃんに愛想尽かされちゃうぞ?」

イシシッと笑う姿はとてもじゃないが、営業部のエースとは到底思えない。

「さっきからひとりで勝手に話を進めているけど、裕介の言う天使ちゃんって誰だ?」

このまま適当にかわしていても、きっと今のようにしつこく詰め寄られるだけ。それならさっさと話しに区切りをつけて家に帰りたかった。
それに裕介には悪いが、裕介が「天使ちゃん」と呼ぶような女性との交友関係などない。
全く身に覚えがなかった。

だけど裕介は確信めいた目で、俺の前に回り込んだ。

「な~に惚けちゃってるんだよ!天使ちゃんって言ったらひとりしかいないだろ?……麻帆ちゃんだよ!新 麻帆ちゃん!」
< 226 / 410 >

この作品をシェア

pagetop