完璧上司は激甘主義!?
しかも失礼なこと言いやがって。なにが仕事バカだ。

後悔などするはずない。
俺にとって新は、この先も部下でしかないのだから。

第一新だってそうに決まっている。
社内で散々「潔癖上司」と呼ばれ、潔癖症を隠すことをしない俺を間近で見ているんだ。
ましてや新の部屋まで綺麗にしてしまったんだ。
そんな俺の一面を知ってまで、好意を寄せるほどもの好きではないはず。

それに新から見たら、二十八歳の俺なんてきっと恋愛対象外なのだろう。

それもそれでなぜか少しだけ寂しいな、なんてことを思いながらもゆっくりと家路に着いた。



「南課長、よかったらどうぞ」

「ありがとう」

新入社員のサロン研修が始まって約一ヵ月。
いつものように当番の新が、ベストポジションに置いてくれた珈琲の香りに誘われて、一時仕事を中断させた。
ずっとパソコンに向かっていると、どうしても肩や首が痛くなる。
こうやって休憩中に軽く回せばボキボキと音が鳴るのではないか、と思うほど。

そんなことを考えながらも珈琲を飲むと、やはり新が淹れてくれる珈琲が一番美味しいと再認識させられる。




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