完璧上司は激甘主義!?
どうにか誤魔化したくて言ったものの、またやってしまったようだ。
俺の言葉に、明らかに新は落胆しているように見える。

どうしたものなのだろうか。
ただ単に、いつも新が淹れてくれる珈琲が美味しいと伝えたいだけなのに、どうしてこんなにも言葉が素直に出てきてくれないのだろう。
仕事で指示するように簡単に言えてもおかしくないはずなのに――……。

部下であり、妹のような存在だからか?
だからこんなにも伝えるのが気恥ずかしいのだろうか?

分からない答えに自問自答しながらも、ますます落ち込んでいく新の姿が視界をよぎる。
そんな姿を見た瞬間、さきほどまであれほど出なかった言葉が自然と出てしまった。
「いつもありがとう」と――……。

すると新の表情は一変し、この言葉が間違いではなかったのだと思うと、自然と口角が上がってしまった。

あの日、新の意外な一面を知ってからというもの、こうやって新の色々な表情を見るようになった。
落ち込んだり、嬉しそうに笑ったり。
逆に怯えたり、落ち込んでいたり。

いつからだろうか。
そんな新の表情を気にするようになっていったのは――……。




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