完璧上司は激甘主義!?
「では、私と賭けをしませんか?」

「賭け、ですか?」

突拍子もない話に、また驚かされてしまった。

「そうです。僕が南さんのことを忘れさせることが出来たら、先ほどお願いした通り、僕と恋愛して下さい」

忘れさせるって言われても、困る。

「無理ですよ。......振られても好きなんですよ?」

そんなに簡単に忘れられるはずがない。

「見たところ、決定打に欠けていると思うんです。きっと優しい言葉かなにかを残されて振られたのではないですか?」

ドキッとしてしまった。
そうなのかもしれない。振られたあの日、南課長がくれた言葉はどれも優しくて、そして何より部屋に飾られているキティちゃんのぬいぐるみが、南課長への想いを繋ぎ止めているのかもしれない。

「それに南さんはきっと、新さんのことをただの部下だとは思っていないと思いますよ?」

「そんなっ!」

そんなわけない。そう言いたかったのに、言葉を遮られてしまった。

「新さんとふたりで話をしたいと切り出した時、南さんは僕に敵意をぶつけてきましたから」

まさか。そんなことあるはずない。信じられないよ。

でも私の気持ちを否定するかのように、大高さんは話を続ける。
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