完璧上司は激甘主義!?
「新さんは気づきませんでしたか?新さんの腕を掴んだ瞬間、睨まれてしまいましたから。......だからこそ、僕と賭けをしてほしいんです」


そう言うと大高さんは、私の両肩に手を乗せ、ゆっくりと距離を縮めてきた。

「新さんにだってメリットがあるお話です。……僕が揺さぶりをかけてそれに南さんが応戦してきたのなら、あなたに気持ちがある証拠。そうしたら僕もきっぱりとあなたと恋愛することを、諦めます。その代わり、揺さぶりをかけてもなにもなく、新さんの言うように南さんには恋人がいたのなら、その時はあなたがきっぱりと、南さんのことは忘れて下さい」

「そんな……」

無理。
だってそんな賭け、私が負けるに決まっている。

「新さん、チャンスだと思いませんか?」

「チャンス、ですか?」

「そうです」

両肩を掴む手の力が強まる。

「早く南さんのことは忘れない、と思っているのではないですか?」

ずばりと言い当てられてしまい、つい視線を落としてしまった。

「だったらきっかけにして下さい。僕は今すぐに南さんのことを忘れてほしいわけではありませんから。……ゆっくりでいいんです。ゆっくり僕と恋愛してほしいんです」
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