完璧上司は激甘主義!?
「それは……」

言葉に詰まる。
いつになく真剣な面持ちで私を見つめるその瞳。
仕事中に見せるものではない表情。

どうして南課長はそんな顔をするのだろう。
悲しげで、不安げな……寂しそうな表情しちゃっているの?

ただ謝ればいいだけなのに、その言葉さえも出てこない。
そもそも南課長は怒っているんじゃないの?
だからわざわざ私をここまで連れてきたんでしょ?じゃあどうして怒らないの?

南課長の気持ちが分からなくて、ただ見つめ返すしか出来ずにいた。
すると南課長はふと視線を落とし、ポツリと言葉を漏らした。

「……言えないことなのか?」

「――え?」

言えないこと?

「あの……南課長?」

私の言葉にハッとしたように、南課長は急に立ち上がった。

「悪い、なんでもない。……とにかく今後はちゃんと報告すること」

「はっ、はい!本当、すみませんでした!」

急いで立ち上がり頭を下げる。

「先に戻る」

降ってきた言葉に頭を上げると、南課長は既にオフィスに向かって歩き出していた。

「行っちゃった……」

思わず立ち尽くしてしまう。
だって南課長の様子おかしかったよね?
いつもの南課長ではないみたいだった。それに――……。

さっきの南課長の言葉を思い出す。
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