完璧上司は激甘主義!?
「研修中も大変じゃなかった?」

「大変だったよ。サロンの人達には頭が上がらないもの」

ふたりの話に、つい笑ってしまった。
それぞれ別々に研修したけれど、やっぱりみんな感じたことは同じだったんだな。
まぁ……きっと一番「大変だ!」って騒いでいたのは、斗真だと思うけど。

斗真といえば、ここ最近は先輩に連れられて外回りに行くことが多い。
同期の中でもたったひとりの男子だし。
きっと期待されているんだと思う。……なんて頭では思っているけど、決して斗真には言わないけどね。
斗真のことだ。
こんな話をしてしまったら、調子に乗るのが目に見えているし。

想像するとクスッと笑えてしまう。

「……あっ!サロンと言えば知ってる?サロンチーフの永井さん、今度結婚するらしよ」

「――え?」

つい数秒前まで斗真の姿を想像しては笑えていたというのに、中村さんの言葉に一気に表情は強張ってしまう。
だけど中村さんは、ただ単に私が驚いているだけと思ったのか、得意気に話を続けた。

「まだまだ内密らしいんだけど、研修中に仲良くなった先輩からの情報だから間違いないはずだよ」

「へぇ~そうなんだぁ。永井さんって綺麗な人で、いかにも仕事も出来る女って感じの人だったよね」

「そうそう!」

ふたりの声が右から左へと通り抜けていく。
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