完璧上司は激甘主義!?
「斗真の言っていることは、正しいと思うよ?」

拳を握りしめ、どうにか感情の高ぶりを発散させる。

「でもさ、人って誰かに弱音を吐けないと生きていけないじゃない。……絶対田村さん、落ち込んでいるよ?……そんな時、やっぱり力になってあげたいって思っちゃうのは、よくないことなの?」

感情的にならないよう、言葉を選びながらゆっくりと話すと、斗真の眉が少しだけ下がった。
そして観念したかのように、大きく息を吐いた。

「別に全てを否定したいわけじゃねぇよ。……たださ、この時間って無駄じゃね?それに待ち疲れて明日の業務に支障をきたす可能性だってあるだろ?」

「……うん」

斗真の言う通りだ。
定時を一時間過ぎている中、残業しなくてはいけない仕事をしているわけではない。
同い年で同期なのに、子供っぽいのは斗真じゃない。……私の方なのかもしれない。
そう思うと急に恥ずかしくなってきてしまい、視線は次第に下へと向かっていく。

「まぁ……ここだけの話さ、俺……これが田村さんじゃなくて麻帆だったら、迷わず麻帆の帰りを待っていたと思うよ」

「――え?」

下がっていた視線は、すぐにまた浮上していく。
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