完璧上司は激甘主義!?
「南さん……」

「あっ……!」

大高さんの声に我に返り慌てて握っていた手を離したものの、きっと間違いなく手を繋いでいたところを見られてしまったに違いない。
そう思うと篤人さんの顔が見れなくて、視線を落としてしまった。

でも、やってしまったかも。別に大高さんとは決してやましいことをしていたわけではないのだから、普通にしていればよかったのかも。
今更後の祭り状態だ。……どうしよう、なにか言わないと。
分かっているのに、言葉がうまく出てきてくれない。これじゃますます怪しいと思われるだけなのに――!

アンバランスな心と身体にギュッと目を瞑った時。

「勘違いなさらないで下さいね。“これからもお願いします”という意味の挨拶ですから。……ね?新さん」

その言葉に顔を上げれば、大高さんは同意を求めるように微笑んでいた。

「はっ、はい……そうです」

さすが大高さん。フォローも上手だ。
私が言いたいことを代弁してくれたことに、安心し気が緩む。

「今日はすみません。アポなしで来てしまって。でももう用事も済みましたので失礼しますね」

そう言うと大高さんは帰り支度を始めた。
なんとなく気まずくて篤人さんのことが見られず、大高さんを見つめてしまっていると急に腕を掴まれた。

「――え?」

そして強引に引き寄せられていく身体。


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