完璧上司は激甘主義!?
そんなことを考えながらも、バレないようみんなの中に紛れる。
するとすぐ近くにいた斗真が気付いた。

「バカ麻帆!なにやってたんだよ」

「ちょっと色々あって……」

前を見据えたまま小声で話す。

「まぁ、いつもの部長の突然ミーティングだったからな。始まって間もないけど特に大した内容は話してねぇよ」

「そっか」

やっぱり突然ミーティングだったか。
重要なミーティングではなかったことにホッと胸を撫で下ろす。

「きっと南課長が遅れて出社するからだぜ?」

「え?」

斗真の口から南課長の名前が出ただけで、ドキッとしてしまった。
もちろん斗真は前を見据えたままだから、私が南課長の名前に反応したことなんて知らず、話を続ける。

「だから部長だよ。いいところは全て南課長に持っていかれてるからな。こういうところで上としての示しをつけておきてぇんじゃねぇの?」

小声ながらも、呆れたようにそう話す斗真にまじまじと部長を見つめてしまった。

部長……佐川部長は確かもう四十歳だったっけ?
経歴は長く、ブライダル企画課では一番の古株だ。
きっと会社的には、ベテランをひとりはどの部署にも配置すべき。と考えがあるのかもしれないけれど、周りは皆、佐川部長のことを『口だけ部長』って呼んでいる。
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