手を伸ばした先に君がいる
  信号で止まる車

富士斗「悪いな。映画の前に後輩に頼まれたものあって。」

衣織 「大丈夫^^ 時間あるし、映画おごっていただけるのあれば♪」

富士斗「こいつは」苦笑する富士斗 


  大学の敷地内に入っていく
  大きな並木道がある駐車場に車を停める富士斗

富士斗「じゃ、待ってて。渡したらすぐ戻るから。」

衣織 「うん^^」 歩く富士斗の後姿を見つめる衣織


  大学の武道場
  中では剣道の練習をしている
   「よ~し!蹲踞っ!」向かい合って蹲踞し竹刀をおさめる

一同 「あ~~~、きっつい!」面をとり各々休む

蒼波 「・・・・」スポーツドリンクを飲む蒼波



  富士斗の車の中でスマホを見ている衣織
  突然、富士斗のスマホが鳴る
衣織 「わっ、びっくりした」鳴るスマホを見つめる

 止まる携帯音
 しかし少し経ってまた鳴り出す

衣織 「仕事の電話かな、急ぎかな・・・」自分のスマホで時間を確認する衣織

衣織 「届けよっか・・。」富士斗の携帯を右手に持ち車から降りる


  道場に到着する富士斗
富士斗「よ~、頑張ってるか~?」

遼介 「あ!先輩!」富士斗の元に駆け寄る

一同 「こんにちは!」

富士斗「お~^^」

蒼波 「・・・」富士斗をちらっと見て、何も言わず出口に向う

遼介 「蒼波!どこ行くんだ?」

蒼波 「・・」振り向かず何も言わず右手を軽くあげて出口から出て行く

  富士斗、不思議そうに蒼波が出て行った方向を見る
遼介 「先輩?」

富士斗「あ、ああ、ほら、これ頼まれてたヤツもってきてやったぞ」

遼介 「助かります~^^」


  にぎやかな武道場を後にして歩き出す蒼波


  一方、衣織は大学の大きな通路の真ん中に立っている
衣織 「・・・・大学・・広すぎ・・・」
  地図の看板を見上げながら(右手には富士斗のスマホ・左には自分のスマホを握りしめながら)

衣織 「・・・迷子かな・・」

衣織 「と、とりあえずあっちに行ってみよ」
  あちこち歩きながら、ふと足を止める

衣織 「・・・・・」一点を見つめる

  舞い散る桜の花びらの中で
  胸に手をあて、空を仰ぎ見ている横顔の男性

衣織 (・・こんなに綺麗な人初めて見た・・・お、男の人だよね・・?)
  しばらく目が離せないでいる衣織

蒼波 「・・・!」視線に気づき、衣織の方向を見る

衣織 「!(きゃ~っ)」慌てて隠れ、その場から走って逃げる

衣織 (・・あ~、びっくりした。・・・・でも綺麗だったな・・・)走るのをやめ、思い出す衣織

衣織 「・・・走ってから、またどこだかわかんなくなっちゃった。富士兄どこ~・・」
  途方にくれていると、遠くを袴姿の人が歩いてるのを見つける。

衣織 「あ!あの人に付いていけば道場いけるかも!」小走りして付いていく衣織
  少しずつ距離が縮まる

蒼波 「・・・・・」誰かがつけてることに気づく
  一度止まる 衣織も止まる

蒼波 「・・・」黙って足早に建物の中に入る

衣織 「!あ」見失わないように小走りに走って建物に入っていく

  建物に入って待ち伏せしていた蒼波が、後から走って入ってきた衣織の左腕を掴む
衣織 「きゃ!」 びっくりして自分の携帯を落とす

蒼波 「・・・俺に・・何か用?」少し顔を近づけ不審な表情で問う蒼波

衣織 「あ、いや、あのっ」しどろもどろの衣織

蒼波 「・・(衣織の顔をまじまじ見て)・・あ、あんたさっきの・・・」

衣織 「え?・・・あ!」

衣織 (さっきの彼! ま、間近で見るともっときれいな顔・・)また見とれる

蒼波 「・・・俺に・・用?」冷たい表情と声で。

衣織 「あっ、え、えっと、違うんです!は、袴はいてたからっ」蒼波のアップがきれいすぎてうつむく

蒼波 「?・・・はかま・・・??」呆れて前よりいっそう不審な表情の蒼波

遼介 「あれ、蒼波?」
  蒼波の後ろから歩いてくる遼介と富士斗
  蒼波 掴んでた衣織の腕を放す
富士斗「?衣織、お前ここで何してんだ?」

衣織 「富士兄・・あ、富士兄の携帯が鳴ったから、急ぎだと困ると思って届けに・・」
 
富士斗「よくこっちだってわかったな^^」

衣織 「あ、いや・・まあ・・・」ちらっと蒼波を見る

蒼波 「・・・」何も言わず小さなため息

富士兄「君も剣道?」蒼波を見る

蒼波 「はい」おじぎをする

遼介 「こいつ、超~~上手いんです~。俺が無理やりひっぱってきたんす^^」

富士兄「へ~、機会があったら一緒に。じゃ、帰るな」
  蒼波、富士兄に軽くおじぎをする

遼介 「先輩、ありがとうございました~~」オーバーに手を振る

富士兄「おお」
  富士兄の後ろを歩く衣織
  後ろをちょっと振り返り、蒼波と遼介におじぎをして小走りに富士斗の付いていく衣織

蒼波 「・・・」二人の姿を見ている

遼介 「戻ろうぜ~」両手を首の後ろに組んで先に歩いていく

  蒼波、遼介に続いて歩き出そうと、ふと隅に落ちている携帯を見つける

蒼波 「・・あ、あの時の・・」先ほど衣織の腕を掴んだときの事を思い出す
  携帯を拾い上げて、二人が歩いていった方向を見るが既に姿は無い

蒼波 「・・・・ふー・・」深いため息と共に遼介の後を歩き出す

















  
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