手を伸ばした先に君がいる
 映画を鑑賞した後、食事中の富士斗と衣織

衣織 「感動したね~~~」

富士斗「お前は泣きすぎなんだよ」半ば呆れ顔でハンバーグをほおばる

衣織 「だって、泣くの我慢すると感動がうすれちゃうんだもん」

富士斗「お前らしい^^」

 窓辺の席から、外を行き交う人を眺める富士斗
 高校生の女子3人組が楽しそうに通り過ぎる

富士斗「・・・衣織」
 
衣織 「うん?」

富士斗「お前今年でいくつになったんだ?」

衣織 「えと~、26歳だな^^」

富士斗「えっ!?」まじで驚いた表情の富士斗

富士斗「・・・お前、けっこういい年だったんだな」

衣織 「・・(軽く睨む)・・そんな事言ったら富士兄だって。初めて富士兄が私の家庭教師になってくれたのが私が中3のときでしょ?そのとき大学1年生だったんだから・・・」
  指を折って数え始める衣織

衣織 「あ!富士兄今年とうとう30歳だ!」

富士斗「・・・(恨めしそうな表情)」してやったりと言う顔の衣織を見ながら

衣織 「でも、富士兄浮いた話きいたことない。彼女いないの~?」いたずらっぽく笑いながら運ばれてきたケーキにフォークを入れる
  幸せそうな衣織の顔を優しく見つめる富士斗

富士斗「ばかばな~、衣織の知らないだけで俺以外とモテるから^^」にっこり微笑んでピースする

衣織 「(一度ケーキを食べる手を止める)・・・」が、無視してすぐまた食べ始める

富士斗「おい、こら、反応しろ反応」衣織のほっぺを引っ張る
 そんな事をしていると、富士斗の携帯がなる。数回鳴って切れた
 富士斗、かかったきた番号を確認する

富士斗「あ~~」頭に手をあてる

衣織 「仕事の電話?」

富士斗「ああ」コーヒーを一口飲む

衣織 「早く行かないと。出ようよ」

富士斗「大丈夫だよ」

衣織 「もう全部食べたし。行こう^^」

富士斗「・・悪いな」 二人立ち上がる

 
  店の外
富士斗「送るから乗れよ」

衣織 「富士兄、仕事戻るんでしょ?」

富士斗「戻るけど、送ってからでも大丈夫だから。」

衣織 「ここ駅からちかいから、私電車で帰れるから、このままお仕事戻って」

富士斗「駄目だ。危ないから」

衣織 「大丈夫!安全なとこ通って帰るしまだ人たくさんいるから、ね?」

富士斗「・・・(困った表情で衣織を見つめる)・・・」衣織の頭を軽くぽんぽんとたたく

富士斗「さんきゅ、気をつけて帰れよ」

衣織 「うん^^頑張ってね」富士斗の車を手を振って見送る衣織


  その頃蒼波は自室に居る
  デスクの前に座ってネックレスに繋がれた指輪を指でなぞっている
  デスクの上には幸せそうに笑う蒼波と女性の写真
蒼波 「・・・・」写真を切なそうに見つめる
  指輪をぎゅっと握りしめ、胸にあてる蒼波


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