手を伸ばした先に君がいる
蒼波と約束した時間に大学に来た衣織
 ちらほらと大学生の姿がある

衣織 「・・・あの人がどこにいるか聞くの忘れてた・・・」

衣織 (私ってばいつも抜けてるんだから・・・もう)

衣織 「・・道場にいるかな・・・?」歩き出す
 
  この間、蒼波を見かけた桜の木が見えてくる

衣織 「この桜・・・きれいね・・・」舞う花びらに手を伸ばす
  桜の建物の裏手で声が聞こえる

衣織 「・・?」話し声の方へ近づいていく

 建物の壁に寄りかかっている蒼波、その脇に美人な女性がいる

衣織 (あ、いた) そ~っと覗き身する

蒼波 「前に断ったはずだけど」

凛  「でも彼女いないんでしょ?遼介が言ってたもの」

蒼波 (あいつ)
  大学の食堂で遼介が凛を自分のファンだと言っていたことを思い出す

凛  「ね?」

蒼波 「(軽くため息)・・・俺、用があるから」
  もたれかかってた壁から身を離し衣織が居る方へ曲がってくる

衣織 (うそっ こっち!?)
  慌てて戻ろうと靴が脱げる

衣織 「あ!」慌てて靴を拾う
  そこへ蒼波が曲がってくる
  蒼波、衣織の顔を驚いてみた後、衣織が握り締めている靴を見る
 
凛  「ちょっと待って、蒼波君!」蒼波の後を追ってくる
  衣織と蒼波を見る。 衣織に対してきつい目つき

凛  「あんた誰?」

衣織 「えっ、え~と・・」 

蒼波 「大丈夫?」衣織が持っていた靴を優しい声で受け取る

衣織 (え?何っ??) 昨日の蒼波との違いに戸惑う

  蒼波、靴を地面に置き、衣織の足に履かせてやる
衣織 「あ、ありがと・・・」
  その光景をおもしろくない表情で見ている凛

蒼波 「ごめん、待たせて。探しに来てくれたんだ」 
  優しく衣織に微笑む

衣織 「いえ、そんな・・」

衣織 (昨日と違って今日はナンなの~~~!)

蒼波 「じゃ、こうゆうことだから」
  衣織の方を軽く抱いて、凛を背にして歩き出す

衣織 「あ、あのっ」

蒼波 「黙って腕組んで」小声で話す蒼波。口調は昨日の蒼波にもどる

衣織 (何なのよ~~)
  仕方なく蒼波と腕を組み歩く衣織

凛  「彼女いないって聞いたのに、でも何か・・怪しいわね~」
  二人の後を隠れながら追う

  ちらっと背後を見る 凛の姿を見つける蒼波
蒼波 「・・しつこい・・・」

衣織 「あの、いつまでこうして・・」
  腕組みしたまま、蒼波の顔を見上げる
  ちらっと衣織を見て、何も言わない蒼波

  駐車場まで歩いてくる二人
  蒼波、校舎の角に凛が居るのを確認する
  蒼波ため息
蒼波 「・・・ったく・・」衣織から腕を放しポケットから車の鍵を出す

衣織 「あ、あの携帯は」

蒼波 「もうちょっと手伝って。後で返すから」
  助手席のドアを開ける

蒼波 「乗って」衣織の肩を掴んで乗せる

衣織 「えっ!?ちょっ・・」
  無理やり乗せられる衣織

  ちらっと窓の外を見る蒼波。しつこく凛が遠くに見える

蒼波 「・・・」ため息のあと、助手席の衣織をじっと見つめる

衣織 「(どき・・)な、なんですか・・?」蒼波の視線にとまどう

蒼波 「・・・」何も言わず隣の衣織に近づき、助手席のシートを倒す

衣織 「!えっ!?ちょっ・・」そのまま蒼波を上にしてシートが倒れる

蒼波 「黙って」衣織の唇に人差し指をたてる
  衣織の真上に蒼波が覆いかぶさってる

衣織 (ひえ~~~~~っっ)両手を硬く握り胸の前にして目をつむる

蒼波 「・・ちょっとだけこのままで・・・」衣織の耳元にささやく

衣織 (うそ~~~~~~っ><)


  


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