手を伸ばした先に君がいる
笑顔の行方
  車の中、助手席に蒼波と重なりあう衣織
  
衣織 (心臓の音聞こえちゃいそう・・)
  薄目を開けて真横にある蒼波の横顔を見る

衣織 (やっぱりきれいな子・・・)

 蒼波、窓から凛がコレを見て早足で立ち去るのを確認する
蒼波 「ふ~・・」
 蒼波、衣織から離れる

 衣織両手を胸の上で握ったまま、固まって動かない
 蒼波、それをあっけにとられた顔で見る

蒼波 「・・いつまでそうしてるの。・・もしかして・・」衣織に顔を近づける

衣織 「!ちがっ」慌てて起き上がろうとして、蒼波とおでこを思いっきりぶつける
 
蒼波 「つっ・・」
衣織 「痛っ・・」おでこを押さえる二人

 どんどんどんっと思いっきり車のガラスが叩かれる

蒼波・衣織 「!!??」驚いて外を見る

蒼波 「理子っ」

衣織 「?」蒼波を見、理子を見る

理子 「丸見えよ、お兄ちゃん^^」にやっと笑う


  後ろの席に乗り込む理子
  後ろの席から蒼波と衣織を交互にニコニコしながら見る
理子 「ごめんね~、おとりこみ中に^^」

蒼波 「だから違うって」ミラーから理子を軽く睨む

衣織 「本当に違うんですっ。誤解なんですっ」助手席から必死に訴える

 理子、じ~っと衣織を見る

衣織 「?何かついてる?」両手をほほにあてる

理子 「ううん、なんでもないです~^^」にっこり衣織に微笑む

衣織 「じゃ、私これで・・」車から降りようとする

理子 「お兄ちゃん、彼女送ってあげないの?」

蒼波 「は?」

理子 「私の事、塾で下ろして、彼女送ってあげなよ」

蒼波 「俺が?」起きれた顔で振り向く蒼波

衣織 「私っ、大丈夫ですから。一人で帰れますから」

理子 「ここら辺、最近出るんだよね~、女の敵が。もう薄暗いから危ないと思うけどな~」

衣織 「あ、でも本当に平気だから・・」といいかける

理子 「だめ!危ないから!ね?」蒼波を見る

蒼波 「・・(呆れ顔で)行くぞ」車を発進させる


 塾に到着
理子 「ありがと、お兄ちゃん」車から降りる。

蒼波 「お前帰りは?」

理子 「大丈夫。かなのママが一緒に載せてくれるって。」

蒼波 「そうか。じゃあな」

理子 「おおかみになっちゃだめよ~、ちゃんとナイトに送ってね~」

蒼波 「・・・」呆れて何も言わず車を発進させる

 衣織、車の中から理子におじぎをする
 理子、笑って大きく手をふる

衣織 「あの、私本当に大丈夫ですからここで下ろしてください」

蒼波 「送るよ。誤解されたのは俺のせいだし。でも家知られたくないなら近くの駅で降ろすけど」

衣織 「そうゆうわけじゃなですけど・・・すいません、お願いします・・」



 信号が手前で赤になり、ゆっくりと止まる

蒼波 「はい、これ」ポケットから衣織の携帯を取り出して渡す

衣織 「あ」
衣織 (さっきのバタバタで、すっかり忘れてた。これ受け取りに来たんだった)

衣織 「ありがとうございました」受け取る

蒼波 「派手に落としたけど、壊れてないし目立った傷もないみたいだけど」

衣織 「ありがとう」

  しばし二人沈黙

衣織 (・・何・・話していいやら・・)ちらっと蒼波を見る

 蒼波、右手を胸にあてている

衣織 (・・・そういえば初めて見たときも・・・)
 桜の木の下で、空を見つめながら胸に手をあてていた蒼波を思い出す

蒼波 「まっすぐでいい?」

衣織 「(ドキっ)・・・あ、はい。お願いします」


 衣織のマンションの前に着く

衣織 「ありがとうございました」降りておじぎをする

蒼波 「じゃ」
  車は発進してすぐ見えなくなる

衣織 「は~・・疲れたぁ・・」



 お風呂上りの衣織
 突然電話が鳴る

衣織 「!びっくりした。はい、もしもし?」

富士斗「ようやく出たな。」

衣織 「富士兄^^」ベッドに座る

富士斗「今日何回か電話したけど、お前出なかったろ~」

衣織 (だって、電話もってなかったも~ん)
衣織 「家に携帯忘れちゃってて・・・今どこ?」
 
富士斗「聞いておどろけ、熊本だ^^!」

衣織 「あ~、熊本」

富士斗「なんだ?驚かないのか?」

衣織 「だって、富士兄電話くれるたびに北海道だ、広島だ、沖縄だって何回も聞いてるから」

富士斗「こうゆう時は話あわせろよな~。ま、無事で何より。じゃな。おやすみ」

衣織 「?きるの?」

富士斗「明日朝一で取引先と会うんだよ。じゃな」電話を切る

衣織 「?あ、もしかして・・」
衣織 (・・心配だったのか・・・)携帯を目の前にしながら。
  突然メールの着信音

衣織 「わっ!」驚いて携帯を落としそうになる
  メールを開く
  富士斗から届く

衣織 「くすっ」メールは満面の笑みでくまもんと2ショットで写ってる富士斗の写真
衣織 「あいかわらず^^」

衣織 「ふ~っ」ベッドに横たわる
 衣織、天井をじ~っと見ながら、近づいてきた蒼波の顔を思い出す

衣織 「・・・どきどきしたな。もうっ」
衣織 (あまりにもきれいなんだもん・・)

衣織 「・・・夢に出てきそ」枕に顔をうずめる衣織


 蒼波の家
 お風呂から上がった蒼波がリビングで本を読んでいる
理子 「ただいま~」

蒼波 「遅かったな」

理子 「一つどうしても納得いかない問題があって、先生に聞いてきた」

蒼波 「めずらしい」

 理子、キッチンでお茶を飲む
理子 「ね、ね、お兄ちゃんっ!」蒼波が座ってるソファの後ろに走ってくる

蒼波 「ん?」

理子 「今日、夕方会ったお姉ちゃん!」

蒼波 「あ?ああ、あの人が何?」

理子 「あの人見て・・何か感じなかった?」蒼波の顔を後ろから覗き込む

蒼波 「何かって・・・何?」

理子 「あ・・いや、別にっ^^ そっか~、あ、うん、なんでもない。荷物置いてくるね」
 ソファから離れ、階段をあがる理子
 自分の部屋の机にカバンを置く

理子 「・・・似てると思ったのにな・・・」










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