女スパイとオセロ王子
「そうなのぉ?すご〜い」


だけど女の子はさっきから、しきりに大きすぎるリアクションと愛想笑いを繰り返している。


あ〜あ。

朝から嫌なものを見てしまった。


あたしは上履きに履き替えると、傍目には楽しそうに見える2人の方に歩いていく。


道がふさがれているからって、あたしが避けなきゃならない理由はないのだ。


女の子の真後ろまで来てするりと横を通り過ぎようとした時、

振り返った女の子と一瞬目があった。


何かを企んでいるように、目だけでニヤリと笑う。


…やられた。

ここに立っていたのは、これが狙いだったんだ。

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