私に意味を。
『では皆さん。一人づつ、名前の意味を発表しましょう。』

先生は、2日後にこんなことを言い出してしまった。

・・・どうしよう。

きっとみんなは、一人づつ意味がある。

だけど私は・・・朝日ちゃんがいないと、意味がないのだ。

『では、名簿番号順で、鮎川夕日ちゃんから。』

『っ!はい。』

・・・よりによって、どうして私が最初なのだろうか。

最悪だ。

黒板の前に立って皆を見渡すと、視線が集中していることが分かった。

まるで、目に見えない鎖で縛られているような気分だ。

もう逃げられない。

瞬間的にそう思った。

『わ、私の名前の意味はーーーー』

私は、全て話した。

朝日ちゃんのこと。

朝日ちゃんが死んでしまったこと。

私の名前はーーーー朝日ちゃんがいないと、意味すらないこと。

そして、全て話し終わった。

再び皆を見渡すと、そこにあったのは・・・。

“哀れみ”と“同情”と“興味”の視線だった。
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