私は彼に愛されているらしい
もしかしたら引かれるかもしれないって不安はあったけど、アカツキくんは笑ってくれたからとりあえずオッケーだと判断する。

どうか気に入ってくれますように。

「いらっしゃいませーい!」

勢いのあるお兄さんたちに迎えられ私たちは入店した。

予約の名前を告げれば店員さんは目を細くして笑顔で案内してくれる。

アカツキくんの死角で目があった店員さんは意味深なアイコンタクトをくれた、それは企み発動の合図だ。

私はお願いする気持ちを込め笑顔を浮かべて軽く頭を下げる。

予めお願いしていたコース料理が始まり、私たちは順調に箸を進めていった。

「わ、本当だ。鍋うまいな。」

「ね。私もちょっと感動してる。夜は寒いからあったまるー。」

「あはは、みちるが素で楽しんでちゃエスコートにならないから。」

「お店の中にいるときは素直におもてなしされるのが一番です。」

もっともらしい言葉を綴りながら大笑いするアカツキくんを横目に私は鍋を楽しみ続けた。

だって想像していたよりこの鳥鍋が美味しい。

口コミって馬鹿には出来ないものなのねと一人感心して何度も頷いてしまうけど、ちゃんとこの先のことも忘れずにいるんだ。

だってここからが本番、まだメインがきていないんだから。

この鍋の味やお店の雰囲気からして期待しても良さそうだと楽しみになってきた。

アカツキくんも喜んでくれたらいいんだけど。

「失礼します。」

私が考えていると個室になっている襖を開けて店員さんが顔を出した。

来た、いよいよ始まる。

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