私は彼に愛されているらしい
アカツキくんの言葉の意味が分からず私は俯いていた顔を上げて首を傾げた。

あ、何だか嫌な予感がする。

アカツキくんの意地が悪そうな笑顔が出るときは決まって私が慌てたり困るときだ。

色んなジャンルがあるけど、ここ最近で一番多いのは。

「俺の要望、全身で受けとめて応えてくれる?」

「は。」

「ベッドまで待ちきれず玄関でやっちゃったらごめん。」

何てこと言い出すの!?

衝撃的すぎて声なんて少しもでなかったのに口だけは目一杯開いてしまった。

抑えきれない感情が暴れだしそうで咄嗟に両手で口を隠すが表情は何だかんだと訴えてしまう。

楽しそうなのはアカツキくんだけじゃない!

「半分以上本気ね?」

「そ、外でそんなこと言わないでよ!」

「家ならいいんだ。」

「ダメ!恥ずかしいからヤメテ!」

「そこが面白いのに。じゃ言わなきゃいいんだ?勝手にやることにする。」

口元に拳を当てて上目遣いをするアカツキくんはどこまでも意地悪だ。

こっちは熱くなりっぱなしで汗まで出てきたから手で扇いで冷ますしかないのに。

睨んでも仕方がないけど一応これ以上のからかいを止めて貰うためにも目をつり上げた。

「そんな要望は聞き入れられませんから!」

「えー?だってこの流れだと最後はみちるがプレゼントでしょ。」

「違います。」

「てっきり吉澤さん辺りがそういうアドバイス入れてると思ったのに。」

「うぐっ!」

< 130 / 138 >

この作品をシェア

pagetop