私は彼に愛されているらしい
「でもまだ終わってないんだ。」

そう言って車から降りると私はラゲージスペースから紙袋を取り出した。

「まさか、まだあるの?」

「これが本命。部屋に入ってから渡すね。」

信じられない表情をしたアカツキくんの目に輝きが灯る。

駐車場から部屋までの短い道のりはプレゼントの中身を想像して落ち着かないだろう、前を歩いているのに気になるのかちらちらと後ろを振り返る仕草に笑ってしまう。

「転ぶよ。」

背中を優しく押して前を促すがそれでもアカツキくんは何度か振り返っていた。

まるで子供みたい。

滅多に見られない可愛いアカツキくんの姿が見られて満足するけど、アカツキくんはこのプレゼントをどう思うだろうか。

本命なんて自分でハードルを上げてしまった事を少し後悔する。

鍵を開けて二人とも玄関に入るなりアカツキくんは振り向いて両手を差し出した。

「見せて、気になる。」

「待って。せめて部屋の中に行こうよ。」

靴を脱いでリビングのソファの近くまで行けばまたアカツキくんが振り向いたから笑ってしまう。

楽しいな、可愛いな。

弾む気持ちと企みが成功するかどうかの怖さが交互に顔を出して私も落ち着かなくなってきた。

大丈夫かな。

少しの不安を抱きながら私はアカツキくんに紙袋を渡した。

中にはラッピングされた包みが入っている。

「お誕生日おめでとう。」

ありがとう、そう言いながら受け取るとさっそくアカツキくんは包装を外して中身を見た。

< 132 / 138 >

この作品をシェア

pagetop