【完】私なりの愛のカタチ。






「ケンカはしちゃいけない。ってさ。
華は、小さい頃から、死ぬまでずっと
俺にそう言ってた。
それでもバカな俺はずっとケンカふっかけられたら
殴り合いみたいなことしてた。
約束破っても破っても、華はケンカして怪我した俺の
手当てをしてくれてた。」




「それで何でケンカやめようって思えた?」



「華が死ぬ一週間ほど前に、
俺の家にまで来て、
『もうケンカしないで。お願い』って。

今までお願いなんて言ってこなかったのに
突然家に来てさ。そう言ってすぐ帰ってった。
俺わけわかんなくてさ。
でも…………」




お姉ちゃんと、圭ちゃんはそんな話をしていたんだ。




「でも……あの時の顔があまりにも真剣で。
忘れられなかった。だから今回もそう。
女性が金髪の男に話しかけられてて、
嫌がってんの見て声かけたら
殴られた。殴り返そうとした時に、
華のあの時の顔がフッとよぎったんだ。」



「ふっ。圭吾かっこいいな。」



「やめろよ。てか結局その後めっちゃ殴られて、
愛にかっこ悪いところ見せちまったしな。
俺はかっこよくなんかねえよ。」



私はその話を聞いて、
溢れる涙を止めることができなかった。




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