狂愛苦
――あっ、あっ……もう……あっ!!!!


脳味噌が今にも狂いそうだった。


信じるって一体なんだろうか?


妻を信用するってことよりも、こんな女を選んだことが……失敗だったことを認めたくないだけなんだろうか。そんなジレンマが荒波になり、頭の中をぐるぐるとどす黒いものが回っているだけなんだろうか?


首を垂れている目線の下には、テーブルの上に乗る、美夢と相手の男と思われるスマホが仲良く並んでいた。


皮肉にも、正気を失いそうになる心に、寄り添うスマホがストップをかけた。


――妻をもて遊んでいる男は一体何者なんだ? 許せない……絶対に。


心臓が大きな音をたて苦しみに満ちていったが、そこからは冷静だった。


いつにもない激しい妻の声を聴きながら、瞬時に両方のスマホを手に取り、ぶっ壊したい衝動を抑え、中身を確認した。


「うちは家庭がうまくいってないんだ……美夢が羨ましいよ。どんどん美夢に嵌りそうだよ。会いたい美夢……君の夢をまた一緒に語ろうよ」
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