甘い甘い誘惑
すると、

「要、こんな子供のどこがいいの?
そんなこと言って、どうせ、この子とも、
ヤリ捨てなんじゃないの?」

と吐き捨てるように言った。


「お前、言い過ぎ!
お前とは、二度となしな。」

と言って、グイグイ、痛いくらい、
私の手を引っ張って、その場をあとにした。


振りかえって、彼女の方をチラっと見ると
〈鬼のような形相〉と言う言葉は、きっと
このことだと言う顔をしていた。
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