一途な彼は俺様モンスター
落ち着け!落ち着くんだ!

冷静になれ!





「空翔様!浅海様の血の気配はありませんか!?」

「…血?」


バネが辺りをキョロキョロして言う。




「モンスターに襲いかかった時、ボクの口元についていた浅海様の血を、モンスターが着ていた服につけたんです」

「え…お前…」

「その血の気配を辿っていけば、浅海様に会えますよ!空翔様のパートナーは浅海様だから、血の気配がわかりますよね?」


ガキだと思っていたバネの表情が、すごく大人びて見えた。







「バネ…お前は俺の最高の弟子だ」

「ハイ!」


俺の言葉にニコッと笑うバネは、もう完全に復活したように見えた。

安心した俺は一度止まり、浅海の血を探ろうと気を集中させる…




ヴァンパイアとパートナーになると…


血を交わせば、たとえ遠く離れていても…


パートナーの血の気配を感じることができる…






今になって、戦いで死んだ親父の言葉が頭によぎった。


俺の親父と結婚したのは、親父のパートナー…

人間の女だった。


だから俺のお袋は人間。

ヴァンパイアは、人間の女から産まれる…

先祖代々そうだった…



でも親父とお袋は、俺が産まれてすぐに戦いで死んだ。

仲間である楓雅の両親も同じ…


戦いに俺たちが巻き込まれることを恐れて、親たちは赤ん坊の俺と楓雅を人間界に隠すようにして捨てた。


俺たちは人間の児童施設で育ち、物心がついた時に親父たちが密かに残してくれた便りにより、自分たちの両親が戦いに巻き込まれたことを知り、自分たちが人間ではなくヴァンパイアだということも知った。

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