一途な彼は俺様モンスター
このまま人間にバレるのも時間の問題だと思い、俺と楓雅は施設から飛び出し、人がいない山にやって来たんだ…


両親がいなくて、俺はすごく寂しかったし…

楓雅と二人きりで心細かった……


きっと、楓雅も同じだとおもう。


赤ん坊の俺たちに、両親を守れる力はなかったけど…

今なら守れる。



浅海を守る・・・・

絶対に…!









「バネ…浅海の血の気配を感じたぜ…南の方向だ…」

「本当ですか!?すぐ行きましょう!」

「ああ…」

「どうしかしましたか?」


浅海の血の気配を感じ取れたのに、なかなか動き出さない俺を、バネは不思議そうな顔をした。





「この方向って…いや、いい」

「え?」


ぼそぼそと声出した俺は「なんでもない」と言って、バネに笑顔を見せた。




「バネ、お願いがある。楓雅のとこに行って、浅海の居場所の方向がわかったことを伝えてくれ」

「わかりました!」

「頼むぞ」


俺はバネと別れ、全速力で南の方向に向かって翼を動かして向かった。





この方向…間違いない。


俺たちが、ガキの頃住んでた山のある方向…

それに…

浅海たちの一族が住んでた村があるところだ…


浅海はその辺りにいる。




あのモンスターは何を考えてるんだ…?


いや、なんでもいい。




とにかく浅海の元へ行かなくちゃ…


浅海…

無事でいてくれ…




そして…

お前を救い出して、記憶が戻ったら…


俺のパートナーに改めてなって欲しい…




ガキの頃から、お前を好きな気持ちは今も変わってない…



お前が好きだから…


絶対にそこから救い出す・・・

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