一途な彼は俺様モンスター

ヴァンパイアとして…

血だらけの体に、酸素マスクをつけた空翔が運ばれて家に着いた。そして真由子さんとマサシおじいちゃんと共に、診察部屋に入ったきり…

もう2時間以上も経つのに、部屋のドアが開くことはない。

私はリビングや廊下を行ったりきたりしていて、落ち着かない…楓雅とバネちゃんは寄り添いながら、ずっと黙り込んだまま…


バネちゃんは子供だし、疲れているはずだからきっと眠いはず…だけど目をしっかり開けて、心配そうな顔をして廊下の医療部屋を気にしている様子。楓雅も同じ…

みんな空翔のことを考え、無事だと願っている…



空翔…頑張って…





私は両手の指を前で絡ませて、祈るように手を額のそばに近づけた。



「長いな…」


楓雅がボソッと口を開く。




「…お茶でもいれようか?」

「…ああ」


私はキッチンでお湯を沸かし、その間に湯のみを用意して、冷蔵庫からパックのジュースを出してバネちゃんに渡した。元気のないものの、バネちゃんは私からジュースを受け取ると…ストローでチュルチュルとジュースを飲んでいた。

その姿を見ているとちょうどお湯が沸いて、楓雅と自分の分のお茶を入れた。




「ありがとう…」

「ううん」


楓雅にお茶を出し、ソファーに腰をかけ一口お茶をすする。熱いお茶が体に染み込んでいつもはほっこりするはずだが、そんなことよりも頭は空翔でいっぱいだった…



かなりの出血をして私の前で倒れ、意識を失った空翔…その姿が今も目に焼き付いている…

胸をえぐられているくらいの衝撃…あんな空翔を見たのは初めてだった…



私のせいだ…

空翔は私を助けに来たから、あんな大怪我を負ったの…


こんなこと考えても仕方ないってわかってるのに…

今こうしてる間は、私には自分を責めることしかできない…





「浅海ちゃん…あんまり自分を責めるなよ?」


楓雅が私を心配そうに見つめる。今自分が考えていたことが、楓雅にバレたことに驚く私。




「…顔見てればわかるよ…空翔だけじゃなくて、俺とお前も幼なじみなんだから…付き合いは長いだろ」

「楓雅…」
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