愛しい君~イジワル御曹司は派遣秘書を貪りたい~
「瑠璃さんケーキ好きでしょう?クリスマスケーキは特別だからって、誉さんが俺に人気のパティシエ探させて注文したんです。あのケーキの女の子の飾り、瑠璃さんですよ」 

 ああ、通りであの飾りに引かれた訳だ。

 誉は私の悲惨な家庭事情を知っている。

 あのケーキは私のためだったのか。

 そう思うとなぜかまた目に温かいものが込み上げてきた。

「聖!誉さんに怒られるぞ」

 一ノ瀬くんがなぜか片山くんを止めたが、彼は構わず続けた。

「この位大丈夫だよ。誉さんは瑠璃さんに意地悪するかもしれませんが、瑠璃さんの事をとても大事にしています。それだけは覚えていてくださいね」

 片山くんの優しい言葉になぜか胸がジーンと熱くなって、我慢していた涙が目から零れ落ちた。

 すると、突然背後から誰かに抱きしめられ、頬にハンカチが当てられた。
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