大っ嫌いなアイツに恋をした。
着くまでって────
あたしのところまで来てくれるの?
「うっ、たちば、な…っ」
「バカ、泣いてんじゃねぇよ!男だろ!俺が着くまで頑張れよ」
走っているのだろうか時々ハァハァ、と息を切らす音が耳元から聞こえる。
「橘、どうしてそこまでしてくれるの…」
どうして……
橘だってあたしのこと良く思ってないはずなのに。
「どうしてって…そんなもん一つしかねぇだろ」
風が木々を揺らし冷たい風が頬をかすめた。
バタバタと、足音がしてあたしは振り返る。
「たちばな…?」
振り返るとそこには
膝に手をついて息をする橘がいて。
携帯を耳にした橘はそのまま言った。
「…らしくねぇな。泣くなバカ」