大っ嫌いなアイツに恋をした。
「な、何で音楽室…なの?」
そう、恐る恐る聞いてみると橘はニヤリと笑った。
「この時間、どこのクラスも使わねぇから。誰もこねぇよ」
なんて、橘はあたしに近づいてくる。
「……へ、へぇ…あ、あ、ピアノあるねっ!あたしこう見えて弾けるんだ〜」
なんか、ただならぬ雰囲気がやばい。
そう思ったあたしは橘を避け、グランドピアノまで走った。
「お前にピアノなんて繊細なもん出来んのかよ」
「う、うるさいなっ!出来るよ!幼稚園の頃やってたんだから…」
ねこふんじゃったぐらいなら、触りだけでも……
と、甘くみたのが大失態。
思い切り音を外すあたしに橘は吹き出すように笑った。
「ブッ、ヘッタクソだな〜。よくそれでピアノ出来るなんて言えたな」
「し、しょうがないでしょ!ブランクよ!ブランク!」
幼稚園の頃ピアノを習っていたとはいえ、ほんの数ヶ月でやめちゃったんだよね……
あたしには身体全身使ってする競技の方が向いてたんだ。
「おい、ちょっと寄れ」
グランドピアノのイスから立ち上がろうとしたとき、隣に橘が座ってきた。