大っ嫌いなアイツに恋をした。



「……な、なに?」



なぜか声が震える。

すぐ目の前にいる橘にドクドクと、心臓が跳ねる。


どうして橘なんかに動揺しなきゃいけないんだ。

今すぐにでも突き飛ばして、大声で怒鳴ってふざけんなっ!なんて言いたいところなのに……


ここは職員室前。

下手に大声を出して先生が出てきて大騒ぎ!なんてことにはしたくない。



「……何してんの、早くどいてよ」



なるべく他には聞こえないような小さな声を出して橘を睨んだ。



だけど、橘はあたしをまっすぐな瞳で見つめてきた。


……っ!?

どうしちゃったの!?


その真剣な瞳を見ていられず俯くと、橘は壁に手をついてあたしの顔を覗き込むようにして見てきた。



「……俺が何の見返りもなく、奉仕すると思ってんの?」



イジワルな瞳は挑発的にあたしを見据える。




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