大っ嫌いなアイツに恋をした。



そんなあたしの名前は笹原美優(ササハラミユ)


実家でお父さんが柔道場を営んでいる。

昔、お母さんが出て行ってからずっとお父さんと年の離れたお兄に育てられ
料理や裁縫なんかじゃなく柔道や空手を教えられてきた。


そのせいか、喧嘩が強いだなんて言われ元々茶色っぽい地毛のおかげでヤンキーにまでも間違えられるはめに……


そして、学校では王子様だなんて持て囃され今に至る。


全然美しくも優しくもないあたしに美優なんて名前をつけたお父さんを少し恨む……


もっとおしとやかで可愛い女の子だったら先輩に振り向いてもらえたのかな……



そんなことを考えていると、頭に重みを感じた。



「朝から人気者だな〜笹原くん?あ、笹原さん」


嫌味ったらしい声が頭上から聞こえる。

学校に憂鬱を感じるのは女子にギャーギャー言われるからじゃない。

本当の原因はコイツにある。




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