大っ嫌いなアイツに恋をした。
「まだ寒い?…何なら抱きしめてやろうか?」
なんて、イジワルに笑った橘に顔が熱くなった。
「へ、変なこと言わないでよバカっ!」
せっかくお礼しようと思ったのに…!
いつもこうなんだから!
「バカはお前だろ。おバカさん〜」
「なっ!橘だって…!」
いつものように言い合って睨み合う。
だけど、いつもと違うのは手が繋がっていること。
離せよバカっ!
繋がれた手を見てあたしは思った。
だいたいこうも喧嘩するようになったのって告白現場であたしが橘を叩いちゃったことが発端だったよね…
それまで、遠い存在だったのに…
「あ、あのさ…あのとき…叩いちゃってごめんね」
最初は首を傾げていた橘だったけど、あのときのことを思い出したのかフッと笑った。