誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「もうこんなこと、やめたほうが」


 身体に触れられている際、これ以上は先に進むのを食い止めようとした。


 「そうか・・・」


 小さくため息をついて、和仁さんは身体を離した。


 私の言ったことを真に受けたのかな?


 それとも・・・?


 私は気になって、和仁さんのほうをを振り返った。


 「ここで中断されたくないよね。・・・顔に書いてあるよ」


 作戦だったみたい。


 「素直になりなさい。どうせ誰も見ていないんだから」


 完全に身を絡められ、逃れられなくなった。


 ・・・もしかして最初から、逃れるつもりなどなかったかもしれない。


 もがけばもがくほど逃れることが不可能になっていく蜘蛛の糸に、自らの意思で捕らえられているのかもしれない。


 「身体はこんなに素直なのに」


 「だって、和仁さんが」


 「僕が何?」


 「馬鹿・・・。もうどうでもいいです」


 私は自らの意思で、そのまま和仁さんを受け入れた。


 抱かれている間は三年前のように夢中で・・・佑典の面影は消えていた。
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