誘惑~初めての男は彼氏の父~
 ・・・。


 「・・・今度、海行かない?」


 抱かれた後、火照った身体をシーツに包まって落ち着かせていたところ、突然和仁さんに提案された。


 「海、ですか」


 「そう。海」


 身体の向きを変えて、和仁さんのほうを見た。


 待っていたかのように私の手を取る。


 「この前行ったばかりじゃないですか」


 「ああ、あの時ね」


 苦笑しながら答える。


 「そうです。あの時です。和仁さんが私を嵌めて、あんなことをした夜」


 「嵌めたとは人聞きが悪いな」


 そしてお仕置きのキス?


 「繰り返すけど・・・あれは理恵から僕を誘ったんだよ」


 「そう追い込んだのは和仁さんです。意図的に私をドライブに連れ出して、人通りのない場所にわざと置き去りにして、そして・・・」


 「偶然だよ、全て」


 余裕の表情でそう結論付けられる。


 「ただ偶然も幾つも積み重なれば、それは必然に変わっていくんじゃないのかな。そしてこれは・・・運命」


 「・・・」


 キスだけでまた溺れてしまう。


 「好きだよ、理恵」


 その囁きが、私の思考回路をだめにする。
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