誘惑~初めての男は彼氏の父~
***


 依然として世界は琥珀色。


 枕元のルームライトの薄暗い灯り。


 「どうして私なんですか、和仁さん」


 腕の中で問いかけを繰り返す。


 「・・・二人の時は敬語使わなくていいって、前から言ってるのに」


 私は和仁さんと話すとき、敬語を崩せない。


 こうして抱かれている時も。


 「だめです。癖になります」


 二人きりの時だけでも敬語をやめてしまうと、癖になって第三者がいる時もうっかり馴れ馴れしい口調で話しかけてしまいそうで、怖かった。


 特に佑典の前では、そんなこと・・・。


 「癖になってもいいよ」


 「ほんとまずいです。だめです」


 優しく甘く迫られると、つい心苦しくなって背を向けてしまう。


 「何がだめなのか、意味分かんないんだけど?」


 余裕の口調で背筋に触れられ、再び引き寄せられる。


 「答えて。何がだめなのかな」


 「別に・・・」


 私が本気で逃れようとしてなどいないことを、十分に分かっているくせに。
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