誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「それで佑典の家で撮影?」


 「まあ、家っていっても小さな撮影スタジオみたいなものは完備されてるからね。そこで撮るんだろうけど」


 確かに佑典、というより和仁さんの家には、写真家としての活動を支えるたくさんの物が備わっていた。


 フィルムを現像するための暗室もきちんと用意されているし、冷涼な環境で保管するのが望ましい機材は、食肉店のような大型冷蔵庫に入れられている。


 数々のカメラが置かれている保管庫や、デジカメで撮影したものをただちにプリントするためのパソコンやプリンターなども。


 和仁さんの作業所は鍵がかかっていて、私は入ったことがないのだけれど。


 佑典の話を聞いているだけで、想像以上に広大な空間が家の奥には横たわっているらしい。


 「でも我が家でヌード撮影なんて、俺は嫌なんだよね」


 「確かに。そのヌード撮影する人って、どんな女の人なんだろうね。モデルさんとか?」


 「さあ。トップシークレットだって、父さん教えてくれないんだ」


 「撮影日に張り込んでみるとか」


 「それがちょうど、俺が卒業論文ガイダンスの日でさ・・・」
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