誘惑~初めての男は彼氏の父~
 「もうそんな時期か・・・」


 佑典はまだ三年生だけど、とっくに卒業後の進路を考えなければならない時期を迎えている。


 すでに就職活動をスタートさせている人も多い。


 佑典は来年夏の教員採用試験目指して、対策を練り始めている。


 そして四年次、卒業学年には、卒業論文を仕上げなければならない。


 論文は原稿用紙に換算すると百枚以上の規定、一朝一夕に完成させられるものではない。


 ゆえに三年次の今のうちから、ガイダンスなどで指導と指示を繰り返して、来年十二月の完成を目指していくのだ。


 「留守中に我が家に、ヌードモデル訪問なんだよね」


 「・・・」


 なんか、気になる。


 誰もいない家の中、和仁さんとヌードモデルが二人きり・・・。


 「どうした、理恵?」


 佑典が私の顔を覗き込む。


 「今日はいつもよりおとなしいから、ちょっと心配」


 「気のせいじゃない? ただ夜景を眺めていただけ」


 目の前の夜景が、綺麗。
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