誘惑~初めての男は彼氏の父~
 コンビニで買い物をした後、車を走らせて小樽市の郊外、小高い丘まで夜景を見に来ている。


 「久しぶりに会った理恵は、どこか変わったような気がして」


 「え・・・」


 佑典が合宿で不在だった日々。


 私は数え切れないほど、和仁さんと・・・。


 そんなことを繰り返しているうちに、いつしかどこか変わってしまっているようで、怖い。


 「十日近く、会えなかったから」


 佑典の追求が心苦しくて、私は視線をそらして夜景の向こうの海を眺めた。


 真っ暗で、海など闇と同化しているのに。


 「ごめんね。いつも寂しい思いをさせて」


 そっと抱き寄せられた。


 「父さんみたいにはなりたくない。大好きな人を放ったらかしにして、自分のことに没頭するなんておかしいって、いつも主張しているはずなのに」


 「違うの。私はそれでいいの」


 佑典に修正した。


 「私は・・・好きな人が何かに没頭している姿を見守っているだけで・・・幸せなの」
< 247 / 433 >

この作品をシェア

pagetop